IPアドレスのセグメントとは?同一・異なる判定を例で解説
IPアドレスとサブネットマスクからネットワークのまとまりを見分け、同じセグメント・異なるセグメントの通信経路を理解するガイド

結論:セグメントはネットワークアドレスの同じまとまり
IPアドレスのセグメントとは、IPアドレスとサブネットマスクから決まるネットワークの範囲です。2台の端末が同一セグメントかは、それぞれのネットワークアドレスを計算して比較します。192.168.1.10/24 と 192.168.1.200/24 は同じ 192.168.1.0/24 に属します。
この記事でわかること
- IPアドレスのセグメントとネットワークアドレスの関係
- 同一セグメント・異なるセグメントを3ステップで判定する方法
/24、/16、/26で範囲が変わる理由- ルーター、デフォルトゲートウェイ、VLANを経由する通信の違い
- 通信できないときにIP・マスク・経路を確認する順番
IPアドレスのセグメントとは何か
セグメントは、ネットワークを用途や範囲ごとに分けた「まとまり」です。家庭のWi-Fi、社内LAN、サーバー用ネットワーク、ゲストWi-Fiなどを別々に管理するときに使います。IPv4では、IPアドレスのネットワーク部とホスト部の境界をサブネットマスクまたはCIDRで表します。
同じセグメントにいる端末は、一般に同じブロードキャストドメイン内で相手のMACアドレスを解決し、スイッチや無線LANアクセスポイントを通じて直接通信します。異なるセグメントへ送る場合は、宛先が自分のネットワーク外にあるため、ルーターやレイヤー3スイッチなどの経路制御機器へ転送します。
ただし、IPアドレスの範囲が同じなら必ず同じ物理ネットワークとは限りません。VLAN、VPN、ファイアウォール、仮想ネットワークがある環境では、IPの範囲だけでなく論理的な接続構成も確認してください。
同一セグメントか判定する3ステップ
- IPアドレスとサブネットマスクをそろえる:比較する2台のIPだけでなく、各端末に設定されたマスクも確認します。
- ネットワークアドレスを求める:IPアドレスとサブネットマスクのビットごとのAND演算で、ホスト部を0にします。
- ネットワークアドレスを比較する:結果が同じなら同一セグメント、異なれば異なるセグメントとして扱います。

例1:192.168.1.10と192.168.1.200は同じセグメント
両方に 255.255.255.0(/24)を適用すると、ネットワーク部は最初の24ビットです。
| 端末 | IPアドレス | サブネットマスク | ネットワークアドレス |
|---|---|---|---|
| 端末A | 192.168.1.10 | /24 | 192.168.1.0 |
| 端末B | 192.168.1.200 | /24 | 192.168.1.0 |
ネットワークアドレスが一致するため、論理的には同一セグメントです。通常はルーターを経由せず、ARPで相手のMACアドレスを確認して同じLAN内へフレームを送ります。ただし、VLANや端末分離機能が有効なら、同じIP範囲に見えても通信が制限されることがあります。
例2:192.168.1.10と192.168.2.20は異なるセグメント
同じ /24 を使うと、ネットワークアドレスはそれぞれ 192.168.1.0 と 192.168.2.0 になります。結果が異なるため、2台は異なるIPセグメントです。
この場合、端末Aは端末Bへ直接送らず、設定されたデフォルトゲートウェイへパケットを渡します。ルーターに両方のネットワークへの経路があり、ACLやファイアウォールで遮断されていなければ、異なるセグメント間でも通信できます。
| 比較 | ネットワークアドレス | 判定 | 基本的な経路 |
|---|---|---|---|
192.168.1.10/24 と 192.168.1.200/24 | 両方とも 192.168.1.0 | 同一セグメント | スイッチ・Wi-Fi内で直接通信 |
192.168.1.10/24 と 192.168.2.20/24 | 192.168.1.0 と 192.168.2.0 | 異なるセグメント | デフォルトゲートウェイへ転送 |
サブネットマスクとセグメントの大きさ
同じ先頭部分に見えるIPアドレスでも、サブネットマスクが違えばセグメントの境界が変わります。CIDRの数字が大きいほどネットワーク部が長くなり、1つのセグメントに含められるアドレス数は少なくなります。
| CIDR | サブネットマスク | 総IP数 | 通常の使用可能ホスト数 | 用途イメージ |
|---|---|---|---|---|
/16 | 255.255.0.0 | 65,536 | 65,534 | 大きな社内ネットワーク |
/24 | 255.255.255.0 | 256 | 254 | 家庭・小規模LAN |
/26 | 255.255.255.192 | 64 | 62 | 小規模VLAN・機器群 |
/28 | 255.255.255.240 | 16 | 14 | 少数の機器を分離 |
たとえば 192.168.1.0/26 は、192.168.1.0~63、.64~127、.128~191、.192~255 の4つに分かれます。192.168.1.50 と 192.168.1.80 は同じ第3オクテットでも、/26 ではネットワークアドレスが異なります。
具体的なネットワークアドレス、ブロードキャストアドレス、ホスト範囲を確認するときは、サブネット計算ツールやCIDR計算ツールで検算できます。
異なるセグメントをルーターやVLANで接続する仕組み
セグメントを分けると、ブロードキャストの範囲を小さくしたり、部署・用途ごとにアクセス制御を適用したりできます。例えば、業務端末を 192.168.10.0/24、ゲストWi-Fiを 192.168.20.0/24、サーバーを 192.168.30.0/24 に分ける構成です。

- ルーター:異なるIPネットワーク間でパケットを転送します。
- レイヤー3スイッチ:VLAN間ルーティングを担い、社内LANの分割と接続に使われます。
- VLAN:同じ物理スイッチ上でも、ポートやSSIDを論理的に分離できます。
- ファイアウォール・ACL:ルーティングできる状態でも、許可された通信だけを通す制御を行います。
異なるセグメントへ通信できないときは、IPアドレスの計算だけでなく、デフォルトゲートウェイ、ルーティングテーブル、VLAN番号、ファイアウォールポリシーを順番に確認します。デフォルトゲートウェイの役割と確認方法はデフォルトゲートウェイの解説も参照してください。
IPアドレスのセグメントの決め方
- 用途を分ける:業務端末、サーバー、ゲスト、IoTなど、通信要件や管理者が異なる単位を洗い出します。
- 必要なホスト数を見積もる:現在の台数だけでなく、将来の増設、予約アドレス、ネットワーク機器の分を含めます。
- CIDRを選ぶ:必要なアドレス数に合わせて、
/24や/26などの境界を決めます。 - 経路と制御を設計する:各セグメントのゲートウェイ、VLAN、ルーティング、ACL、DHCP範囲を対応付けます。
- 重複を確認する:VPNや拠点間接続の相手と同じプライベートIP範囲を使うと、経路が衝突することがあります。
「端末台数が少ないから大きな /16 を使う」と単純に決めるのではなく、ブロードキャスト量、アクセス制御、運用上の切り分けやすさも考慮します。既存のネットワークを分割する場合は、変更前にIPレンジ計算ツールで範囲を確認し、利用中の固定IPやDHCP配布範囲と重ならないようにします。
同一セグメントなのに通信できないときの確認順
- IPアドレスとマスク:両端末のIP、サブネットマスク、IPv4/IPv6の種類を確認します。
- ネットワークアドレス:同じマスクで計算し、本当に同一セグメントかを確認します。
- 接続媒体とVLAN:Wi-Fiのクライアント分離、VLAN、ゲストネットワーク、仮想スイッチを確認します。
- ARP・経路:同一セグメントならARPに相手のMACアドレスが解決されるか、異なるセグメントなら
ip routeやroute printでゲートウェイを確認します。 - IP重複とフィルター:同じIPを使う端末がないか、OSのファイアウォールやルーターのACLが遮断していないか確認します。
Windowsでは ipconfig、arp -a、route print、Linuxでは ip addr、ip neigh、ip route が確認に役立ちます。IPアドレスの重複が疑われるときはIPアドレス重複の原因と直し方も確認してください。
FAQ
まとめ
IPアドレスのセグメントは、IPアドレスとサブネットマスクから決まるネットワークの範囲です。同一セグメントかを調べるときは、IPアドレスの見た目だけで判断せず、ネットワークアドレスを計算して比較します。同じセグメントなら直接通信、異なるセグメントならデフォルトゲートウェイやルーターを経由する、という違いを押さえると、サブネット設計と通信トラブルの切り分けがしやすくなります。