ネットワーク基礎

IPアドレスの範囲とクラス分類|A・B・C・CIDRの見分け方

IPアドレス 範囲を調べるときは、A・B・Cという古いクラス分類だけでなく、現在のCIDRプレフィックス、ネットワークアドレス、ブロードキャストアドレスまで確認する必要があります。この記事では、IPv4の全体像から具体的な計算例まで、実務で迷いやすい境界を順番に整理します。

2026年9月13日公開
IPv4のアドレス空間をA・B・CクラスとCIDRの範囲で整理した図
A・B・Cクラスはネットワーク規模を理解する入口です。実際の範囲はCIDRプレフィックスで細かく指定します。

結論:現在のIPアドレス範囲はCIDRで判断する

IPアドレスの範囲は、IPv4なら0.0.0.0〜255.255.255.255という値の空間から、サブネットマスクやCIDRで切り出します。クラスA・B・Cは先頭オクテットと既定の /8・/16・/24を理解するための分類ですが、現代のネットワーク設計では 192.168.1.0/26 のようなCIDR表記が実際の範囲を決めます。

この記事で分かること

  • IPv4のIPアドレス範囲と、予約・特殊用途の見分け方
  • クラスA・B・C・D・Eの基本範囲と、クラス分類を使うときの注意点
  • ネットワークアドレス、ホスト範囲、ブロードキャストの関係
  • /24 と /26 を使った範囲計算の具体例
  • プライベートIP範囲、ループバック、リンクローカルを混同しない方法

IPアドレスの範囲とは

IPv4アドレスは32ビットで構成され、8ビットずつ4つのオクテットに分けて表記します。各オクテットは0〜255なので、数値としては 0.0.0.0 から 255.255.255.255 まで存在します。ただし、このすべてを端末へ自由に割り当てられるわけではありません。

IPアドレスの範囲を読むときは、まず「値として含まれる範囲」と「用途として割り当てられる範囲」を分けます。たとえば 127.0.0.0/8 は自分自身を表すループバック、224.0.0.0/4 はマルチキャストです。住所のように数字が連続しているからといって、同じ目的で利用できるとは限りません。

また、ネットワークの範囲はアドレス単体では決まりません。192.168.1.10 という同じIPでも、/24なら属する範囲は 192.168.1.0〜192.168.1.255、/26なら4つに分割されたどこかの範囲になります。そこでサブネットマスクまたはCIDRを必ず一緒に確認します。

クラスA・B・CのIPアドレス範囲一覧

クラス分類は、IPv4が広く使われ始めた時代の「ネットワークをどの規模に分けるか」という考え方です。「IPアドレス クラス」と検索する人が知りたいA・B・Cの違いは、先頭オクテットとネットワーク規模の目安にあります。教材や既存設備の資料を読むときには役立ちますが、代表的なユニキャスト範囲と現在のCIDR運用は分けて理解します。

クラス先頭オクテット既定のCIDRネットワーク規模主な見方
A1〜126/81ネットワーク約1,677万ホスト大規模ネットワーク向けの歴史的分類
B128〜191/161ネットワーク約65,534ホスト中規模ネットワーク向けの歴史的分類
C192〜223/241ネットワーク254ホスト小規模ネットワーク向けの歴史的分類
D224〜239該当なしマルチキャスト複数宛先への配信に使う範囲
E240〜255該当なし特殊用途・予約通常の端末用として扱わない範囲

クラスAで先頭オクテットが0ではなく1〜126になるのは、0.0.0.0/8 が特殊用途で、127.0.0.0/8 がループバックに使われるためです。ただし、表のホスト数は一般的なサブネット計算の目安であり、予約アドレス、運用設計、割り当てポリシーによって実際の利用可能数は変わります。

IPv4のクラスA・B・Cをネットワーク規模とホスト空間で比較する図
A・B・Cはネットワークの大きさを比較するための歴史的な分類です。実際のプレフィックスはCIDRで確認します。

クラスフル分類とCIDRの違い

クラスA・B・Cに基づく方法は、ネットワーク部が /8・/16・/24に固定されていました。必要な規模がその境界に合わない場合、アドレスを大きく余らせたり、逆に足りなくなったりします。そこで現在は、ネットワーク部の長さを /20、/26 のように柔軟に指定するCIDRが基本です。

たとえば 172.16.0.0/16 は、先頭オクテットだけで見るとクラスBの範囲に見えます。しかし 172.16.0.0/20 なら同じ大きなアドレス空間の一部を、より小さなネットワークとして分割できます。「クラスBだから /16」と固定してしまうと、現在の設計を読み違えます。

CIDRを確認するときは、スラッシュの後ろの数字が大きいほどネットワーク部が長くなり、1つのサブネットの範囲は小さくなります。/24は256アドレス、/26は64アドレス、/30は4アドレスというように、ホスト部のビット数から総アドレス数を求めます。

CIDRとサブネットマスクの対応が曖昧な場合は、サブネットマスクの見方とCIDR計算ツールを使って、プレフィックスと10進表記を照合すると安全です。

ネットワークアドレス・ホスト範囲・ブロードキャスト

サブネットの範囲には、役割の異なるアドレスが含まれます。ネットワークアドレスは範囲そのものを表し、ブロードキャストアドレスは同じサブネット内の全端末へ届けるために使います。その間が通常のホストへ割り当てる範囲です。

項目/24の例意味
ネットワークアドレス192.168.1.0サブネット全体を識別する先頭のアドレス
利用可能ホスト192.168.1.1〜192.168.1.254一般的な端末や機器に割り当てる範囲
ブロードキャスト192.168.1.255同じサブネットの全端末へ送る宛先

IPv6やポイントツーポイント構成などでは扱いが異なる場合がありますが、家庭や社内LANでIPv4の範囲を確認する場面では、この3種類を分けるだけでも設定ミスを減らせます。ネットワークアドレスとホストアドレスの境界は、IPアドレスの先頭部分を目で読むのではなく、必ずサブネットマスクで計算します。

192.168.1.0/24のネットワークアドレス、利用可能ホスト範囲、ブロードキャストを示す図
/24ではネットワーク部とホスト部が分かれ、先頭と末尾のアドレスには特別な役割があります。

IPアドレス範囲の計算例:/24と/26

192.168.1.34/24の場合

/24はホスト部が8ビットなので、1つのサブネットは 2^8 = 256アドレスです。192.168.1.34を含む範囲は 192.168.1.0〜192.168.1.255、ネットワークアドレスは 192.168.1.0、ブロードキャストは 192.168.1.255、一般的な利用可能範囲は .1〜.254です。

192.168.1.70/26の場合

/26はホスト部が6ビットなので、1サブネットは 2^6 = 64アドレスです。最後のオクテットは0、64、128、192の境界で分かれます。70は64〜127の範囲に入るため、ネットワークアドレスは 192.168.1.64、利用可能ホストは .65〜.126、ブロードキャストは 192.168.1.127になります。

計算の順番:①CIDRからホスト部のビット数を求める、②ブロックサイズを計算する、③対象IPがどのブロックに入るか確認する、④ネットワークアドレスとブロードキャストを決める、の4段階です。

手計算の確認にはIPレンジ計算ツール、ネットワーク部とホスト部をまとめて確認したいときはサブネット計算ツールが使えます。結果が想定と違う場合は、入力したサブネットマスク、IPのタイプミス、IPv4とIPv6の取り違えを先に確認してください。

プライベートIP範囲との違い

「IPアドレスの範囲」と検索すると、プライベートIPの予約範囲を知りたいケースもあります。RFC 1918で定義された代表的な範囲は次の3つです。これはA・B・Cクラスをそのまま意味するものではなく、インターネット上でグローバルに経路広告しないための用途別の予約です。

範囲CIDR用途の目安詳しい解説
10.0.0.0〜10.255.255.255/8大きな社内ネットワーク10から始まるIP
172.16.0.0〜172.31.255.255/12企業・VPN・仮想ネットワーク172.16/12の解説
192.168.0.0〜192.168.255.255/16家庭用ルーターや小規模LANプライベートIP範囲一覧

プライベートIPは同じ値が別の家庭や会社でも再利用されます。そのため、192.168.1.10だけを見て世界中のどこにあるか、誰が使っているかを判断することはできません。ネットワーク内の範囲を調べたいのか、インターネット側のグローバルIPを調べたいのかを分けて考えます。

IPアドレスの範囲を調べる手順

  1. 対象IPと表記をそろえる:IPv4かIPv6か、サブネットマスクがあるか、CIDRが付いているかを確認します。
  2. ネットワーク部の長さを読む:/24なら先頭24ビット、/26なら先頭26ビットがネットワーク部です。
  3. 範囲の境界を計算する:ネットワークアドレス、最後のアドレス、利用可能ホスト範囲を求めます。
  4. 特殊用途を照合する:プライベート、ループバック、リンクローカル、マルチキャストなどに該当しないか確認します。
  5. 設定箇所と照合する:端末、ルーター、DHCP配布範囲、固定IPの台帳を見比べ、同じLAN内で重複しないことを確認します。

IPアドレスの種類そのものが分からない場合はIPアドレス種別判定ツールを使い、ネットワークアドレスの計算が必要ならIPアドレスのセグメント解説も参照してください。クラス分類、プライベート範囲、実際のサブネット範囲は別の情報なので、結果を一つに混ぜないことがポイントです。

混同しやすい特殊な範囲

範囲・例意味注意点
0.0.0.0/8未指定や特殊用途通常の端末アドレスとして配布する範囲ではありません。
127.0.0.0/8ループバック同じ端末自身を指し、LAN上の別機器には届きません。
169.254.0.0/16リンクローカルDHCPからアドレスを取得できないときに現れることがあります。
100.64.0.0/10キャリアグレードNAT携帯回線などの共有アドレス空間で使われ、RFC 1918の私用IPとは別です。
224.0.0.0/4マルチキャスト単一端末へ割り当てる通常のホスト範囲とは目的が違います。

このような特殊用途は、先頭オクテットだけを見て「クラスAだから使える」と判断できません。IANAのIPv4 Special-Purpose Address Registryで用途を照合し、社内設計ではルーターやOSの仕様も合わせて確認してください。

IPアドレスの範囲・クラス分類に関するFAQ

IPアドレスの範囲は0.0.0.0〜255.255.255.255ですか?

IPv4の数値空間としてはその通りですが、すべてが端末へ自由に割り当てられるわけではありません。予約・特殊用途を除き、サブネットのCIDRで実際の範囲と利用可能アドレスを決めます。

クラスCは必ず192.168から始まりますか?

いいえ。クラスCの歴史的な先頭オクテットは192〜223で、192.168.0.0/16はその一部をプライベート用途に使う範囲です。クラスC全体と家庭用プライベートIPは同じ意味ではありません。

ネットワークアドレスを端末に設定してもよいですか?

一般的なIPv4サブネットでは、ネットワークアドレスは範囲全体を表すため端末のホストアドレスには使いません。機器や特殊な構成で扱いが異なる場合は、製品仕様を確認してください。

IPアドレスの範囲とサブネットの範囲は違いますか?

IPアドレス全体の数値空間に対して、サブネットはCIDRで切り出した一つのネットワーク範囲です。検索意図としては近いものの、全体の分類を知りたいのか、入力したIPの所属範囲を計算したいのかで確認方法が変わります。

A・B・CクラスとCIDRはどちらを覚えるべきですか?

既存資料を読むためにA・B・Cの目安を知り、設定や設計ではCIDRを優先してください。/24、/26、/30のようなプレフィックスが実際のネットワーク部とホスト部の境界を示します。

まとめ

IPアドレスの範囲を理解するには、IPv4の全体空間、A・B・Cの歴史的クラス、CIDRで切り出したサブネット、ネットワークアドレスとホスト範囲を順番に分けて考えます。クラス分類は入口として便利ですが、現在のネットワークで実際に使う境界はCIDRとサブネットマスクで決まります。

入力したIPがどの範囲に属するか迷ったら、まず IPアドレス + CIDR をそろえ、ネットワークアドレス、ブロードキャスト、利用可能ホストを計算してください。そのうえでプライベートIPや特殊用途の範囲を照合すると、設定ミスや誤ったアドレス判定を減らせます。

参考仕様